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高次脳機能障害からみる自分のスキルアップと部下の育て方

高次脳機能障害とは、脳に何らかの理由で損傷を受けたときに起こる様々な脳機能の障害で、読んで字のごとく、「高い次元の脳の機能の障害」のことです。

 

 

 

脳の機能を大きく二つに分けると、「生命を維持するための機能」と「上手に生きるための機能」に分けられます。生き物はまず生きることが前提であるため、最低限の機能である生命を維持に関する機能を低次脳機能、その上で上手に生きていくために必要な機能を高次脳機能としています。

 

 

 

 

高次脳機能とは、感情や行動、注意力や記憶力など、私たちが社会生活を送る上で欠かせない人としての基本的な能力のことです。障害というと、健康で元気な人が聞くとどこか自分とは関係ないように感じるのではないでしょうか?

 

 

 

 

しかしそうではありません。

 

 

 

 

私は理学療法士を育成する医療学校の臨床実習生を、年に数人ずつ自分の担当として指導することがあります。リハビリテーションを通して患者さんを治療する中で、リハビリとして高次脳機能障害に触れてきましたが、学生を指導する中であることに気づきました。それは、学生にも軽度ではありますが、高次脳機能障害に似た症状がみられたのです。もちろん、学生が脳に損傷を負っているわけではありませんし、いたって健康で元気です。つまり高次脳機能障害とは、障害という名前がつくことで区別されていますが、あくまで高次脳機能が著しく低い状態のことであって、健康な人の中にも脳機能が発達しきっていない、又は鍛えられていない人がいるということです。

 

 

社会人の中にも、特に社会経験のない新入社員に対して「そんなこともできないのか!」と言わないまでも思うことは多々あるのではないでしょうか?そこで私は高次脳機能障害のリハビリテーションが、一般の人の指導に活かせるのではないか?と考えました。

 

 

 

 

ここからは、高次脳機能障害を病気によって引き起こされる「障害」と、能力の未発達・強化不足によって日常生活に影響する「機能低下」に区別して、健康な人の能力向上に役立つ課題・指導法を細かく分析・解説していきます。

 

 

 

 

参考文献である「高次脳機能障害のリハビリテーション-実践的アプローチ-第2版」によると、高次脳機能障害の見立てにおいて、これを以下の10種類に分類しています。

①失語症

②注意障害

③記憶障害

④行動と感情の障害

⑤半側空間無視と半側身体失認

⑥遂行機能障害

⑦失行症

⑧地誌的障害

⑨失認症

⑩障害の無自覚

 

この中から、障害ではなく機能低下としてみられるものを挙げると、

②注意障害

③記憶障害

④行動と感情の障害

⑥遂行機能障害

この4つだと考えます。

 

 

 

 

今後「高次脳機能障害からみるスキルアップと部下の育て方」シリーズとして、これら4つに対しての理解と対処法を解説していきます。徐々に更新していきますので、興味のある方はぜひ参考にしてやってください。