皆さんは侍を思い浮かべるときどんな人を想像しますか?
ちょんまげをして腰には刀をさし、
スカートのように広がったズボンをはいている姿ではありませんか?
あのスカートのようなズボンのことを袴(ハカマ)と呼びます。
そんな袴をなぜ着用するようになったのか?
これにはいくつかの説があり、
今回紹介するのは、
私が理学療法士の学校に通っていた頃、
授業の雑談として先生が話してくださった説です。
この説を書く前に、
まずは歴史的な背景からお話します。
袴は着物の上から履く
日本の伝統的な装いであり、
社会的に地位の高い男性が着用してきました。
学説によれば、
袴の起源は平安時代(794-1185)に遡り、
始まりは宮中の女性が着用していた衣服で、
その形が現在の袴の形とよく似ていたと言われています。
平安時代後期になると、
男性は狩衣(平安時代以降の公家の普段着)と水干(男性の平安装束の一つ)を着用しはじめました。狩衣も水干もスカートのような形状をした着衣でした。
鎌倉時代(1185-1332)の初期頃には、
騎馬戦を行う武士階級の男が袴を着用するのが一般的になりました。
その頃から袴は、上級士族の中では流行りはじめ、
様々な形、スタイル、色、素材のものが生まれました。
次第に袴は足軽などの下級武士の間でも着用されるようになり、また学者や商人にまで普及していきました。ちなみに野外で活動する人々は主に細身の襠有(まちあり)袴を着用していたといわれています。
※季刊『大東流合気柔術琢磨会会報』 第八十六号(平成二十五年五月発行)より
その後、日本が次第に西洋化していくに従い、
それまでの慣習として袴の着用も冠婚葬祭に限られるように変化してきました。
現在では日常的に袴を着用するのは神主と武道に携わる人だけで、
主に儀式的な意味合いで着用されるようになっています。
そんな歴史を持つ袴ですが、
侍の中では実用的な理由で着用されていたという説が存在します。
それが膝の動きを隠すためという説です。
膝は動作の起こりが最も表れる部位です。
腕や肩、目線などでフェイントをかけていても、
膝をみられると次の動きを見破られるため、
それをダボっとした袴で隠しているんだそうです。
私自身、理学療法士としてリハビリの際、
患者様の歩行を観察する上で、
自然と膝を中心に観察していました。
歩行訓練において一番怖いことは「転倒する」ことです。
そしてその転倒は、いつも膝を中心に始まります。
そのため膝を見ることで、一瞬早く転倒の予備動作に気づき、
転ばないように助けることができるのです。
先人の知恵って、スゴイですよね!
日本で昔から当たり前になっているちょっとしたことを改めて調べてみると、
そこには先人の知恵が詰まっているかもしれません。
今回は以上になります。
このブログを読んでくださってありがとうございました!
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